六原自治連合会事務局長 菅谷幸弘氏 インタビュー

アートでつなげる、まちづくり

インタビュー:六原学区の自治連合会事務局長、菅谷幸弘さん
取材&原稿:京都造形芸術大学 芸術表現・アートプロデュース学科 アートプロデュース論1受講生
(金 昭娟、立野可耶、土屋侑大、中尾めぐみ、西口瑞穂、軒山春菜、深見悠介、山岸 優、和家かおる子、山下和俊、吉濱 芳)
同学科准教授 山下里加

松原通り 六道珍皇寺 六道参り時の様子

HAPSが拠点を構える京都市東山区の五条付近にある六原学区は、長らく清水焼きや、西陣織をはじめとした“糸へん産業”で働く人達のベットタウンとして栄えてきました。今も、うなぎの寝床と言われるような昔ながらの、情緒ある町家と路地が広がっています。
 しかし、次第に人口は減少し、少子高齢化が進んでいる状態で、 空き家問題も深刻になってきています(2012年現在、3384名が在住)。
そこで、平成12年に六原学区の30の町からなる「自治連合会」が発足し、町の状況調査や、高齢者をサポートする企画などをたて、町の問題を解決するため様々な活動を行っています。
 私たちは、六原学区の「これまで」をよく知り、「これから」を考える六原自治連合会の事務局長である菅谷幸弘さんに、町の問題や住民の思い、芸術の方面から六原を盛り上げるHAPSとの関係など、京都の中心でうごめく町の姿を聞いてきました。


1六原学区について

●町の現状について教えてください
 HAPSの拠点となっている地域・六原では、空き家問題と高齢化が深刻になってきています。六原にある1800世帯のうち200戸が空き家となっており、10件に1戸が使われていないというのが現状です。交通の便も良く、街中であるにもかかわらず、六原学区の住宅面積が平均よりも少し狭いということもあり、六原にやって来る人が少ないのです。
 また、高齢化率は29.6%となっており、若者が少なくなってきている現状もあります。昔1000人の生徒がいた小学校は最終的に70人になり、現在は統合して新たに小中一貫校が開校しました。

●これらの問題に対してどんな対策をしてきましたか?
 これらの問題に対し、六原の自治連合会や、六原まちづくり委員会(※)ではさまざまな対策を行っています。空き家調査・高齢者へのアンケート調査をはじめ、六原地区の住民が中心に行っている高齢者向けの銭湯サービスや子供見守り活動などもあげられます。地区の団体だけでなく、京都の大学と連携した活動も行っています。
 六原学区は、住民が町の問題に対してきちんと目を向け、積極的に対策に乗り出していますが、なかなか難しい部分もありますね。
※自治会、HAPS、京都市の行政等から成り立つ委員会

 自分たち町の住民だけで物事を進めるだけでなく、いろんな人と関わる事は大切だと思っているので、外部団体と関わりを持つことに積極的にチャレンジしています。京都大学防災研究所、京都市景観まちづくりセンター、京都女子大学、京都造形芸術大学など、町の外部団体が、六原に関する空き家問題等の、町の問題調査を行い、活動しています。町民も自分達の町の役に立つならと快くインタビュー等で協力していました。
 これからも様々な立場の方と関わって、いい町づくりに生かしていけたらいいと思いますね。


●六原地区内でのコミュニケーションは、どのように行われていますか?
 六原では、月に一度は六原自治連合会の会合を開いています。町の中に何か変化があれば、その会合に話があがってきますし、そこで決め事をした情報が、町の人達にもしっかりと伝わるようにしています。町のみんなが情報を共有することはとても大切なことです。
 町の人同士が関わりを持つ機会としては、区民運動会でともに汗を流したり、六原フェスタというイベントを行ったりしていますね。自治連合会では大勢の人達が積極的に集まってコミュニケーションをとれるイベントを企画しています。
 六原では、町の人同士が関わりあう場面が多々あるため、町全体としてとても強く繋がっています。今インタビューを受けている会場の「やすらぎ・ふれあい館」は、場所を開放していて、高齢者やこの地域にお住まいの方等がコミュニケーションをとれる機会としてさかんに活用されています。運営は社会福祉協議会に委託しています。今も隣の部屋で麻雀をしているのもコミュニケーションの一貫ですよ。


2HAPSとの関係

六原フェスタでのHAPSのワークショップの様子

● HAPSと町の人の関係についておしえてください。
 HAPSが六原を拠点とすることに対して、自治連合会では積極的に手を組んでいこうと考えています。HAPSのディレクターである芦立さやかさんが六原に来たのは3月頃からですが、とても積極的に町の人達にあいさつするなど、気軽に日常会話を交わす関係で、認知度も上がっているんですよ。
 住民である自分たちの持っているものだけではなく、いろいろなところからたくさんの情報や知識などを吸収し、多文化を受け入れてこの六原地区をより発展させていきたいという思いがあります。秋にある「六原フェスタ」などのイベントにも関わってもらって、町の人達が楽しめるようなイベントにしていこうと考えています。
一方で、移住してきたアーティストが地域にうまく溶け込めるかという心配がありますが、HAPSさん経由で入居される方は面接などを行っていただいていますし、不安は持っていないですね。 元々、六原学区は美術教育に力をいれていまして、清水焼の産地であったりしますし、アーティストを受け入れる土壌ってのはすでにあるんですよ。
 今は、地域の人がHAPSの行動について興味津々にみており、お手並み拝見といった感じですね。


3活動方針

●自治会の活動方針を教えてください。
 「人にやさしく、地域を愛する」精神のもと、いつまでも住み続けたい町づくりをめざています。そのために、互いにふれあい、支えあい、助け合う六原区民として更に前進するよう努力をし続けたいですね。

●HAPSが六原に拠点をおくことで、どんな活動をしていきたいですか?
 自治会は、地域の人にとってより良い町でありたいという思いを大切にしています。毎年活動方針を変更していますが、今でも発足当時の方針が基本になっています。そして今、アートの力で普段の生活に少し刺激を足してみようという試みを始めています。ただ住みやすいだけではなく、普段と違ったことからふと気づくことも大切なのではないでしょうか。

●六原のアーティストに期待していることは?
 アーティストには、自分の制作はもちろんのこと、地域の力になれるよう活動してほしいです。そこから地域の人と分かち合い、協力し合える関係を築く。最終的には、地域に溶け込み、共により良い地域づくりをすることを理想としています。

菅谷幸弘 Yukihiro Sugatani
六原学区自治連合会事務局長。HAPS実行委員。
1952年、京都市の六原学区に生まれる。六原小学校、洛東中学校、日吉ヶ丘高等学校を経て、龍谷大学に進学。2000年より、六原学区自治連合会事務局長。教育映像の販売を行う平安映画商会代表。


六原学区を拠点とするアーティストの声

彦坂敏昭さんインタビュー