協力展覧会「國府理 水中エンジン redux」

HAPSで協力している展覧会のお知らせです。
遠藤水城の組織した國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会による展覧会「國府理 水中エンジン redux」が、アートスペース虹にて7月4日(火)〜7月30日(日)に開催されます。

概要

 「水中エンジン」は、國府が愛用していた軽トラックのエンジンを水中に沈め、稼働させるという作品です。エンジン音とともに熱および排気が発生し、水槽内の対流が可視化されると同時に展示空間の外まで敷設されたマフラーから排気ガスが排出されます。
 この作品の成立は2012 年であり、言うまでもなくそれは現在まで続く「震災後」という時間が始まった時でもあります。國府自身も「水中エンジン」が福島第一原子力発電所の事故から影響を受けて構想されたことを明かしています。結果として、この作品は非常に「脆い」ものとなりました。壊れやすい。メンテナンスが必要である。完成していないのではないかとすら思える。
 通常、再制作とは作家の意図を踏まえ、作品を忠実に再現するものです。しかし本企画は、それに多くの困難・不可能性を抱えている。部品もほとんど残っていませんし、國府自身が展示会場にてメンテナンスを施し続けていた、という状況を再現することも不可能です。したがってこの再制作は失敗に終わらざるを得ない。しかし、逆に問いますが、アートにおける成功とは何なのでしょうか。この作品が明らかにしてしまう不完全さこそが、この社会の有り様をそのまま示しているのではないでしょうか。私たちはそもそも原子燃料サイクルが完成しないことを既に知っています。この社会システムが決して完結したものではなく、極めて脆いことも。「水中エンジン」は震災および原発事故への反応や対応ではなく、それを象徴化せしめた作品というわけでもなく、その「構造的欠陥」が芸術の破れであると同時に、この社会の破れでもあるという事実を反映してしまったという点において、震災後の芸術作品の中でも白眉であると言えます。
 この再制作プロジェクトはそのような「構造的欠陥」、「incompletion」な状態を積極的に引き受けるものです。しかし逆説的に、それはオルタナティヴな共有システムと記録システムの可能性へと繋がっています。美術館において共有が「展覧会」に、記録が「収蔵」に集約されるとしたならば、「水中エンジン」の「反復」はどこか別の方向へと進んでいく。共有されざるものの共有と、記録されざるものの記録の方へ。個人/故人の神話化や完成作品の永続化から離れ、ただありふれた、思い立ったかのように繰り返される追悼のようなものに。 (文:遠藤水城)

展覧会名:國府理 水中エンジン redux
会期::前期 7 月4 日(火)― 16 日(日) / 後期 7 月18 日(火)― 30 日(日)
閉廊日:月曜
開廊時間:11:00―19:00 ※7 月16 日(日)、 30 日(日)のみ18:00 まで
会場:アートスペース虹(京都市東山区東町247-2)
企画:遠藤水城(インディペンデント・キュレーター、日本シリーズ第3戦)
主催:國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会
遠藤水城(インディペンデント・キュレーター)、白石晃一(アーティスト)、高嶋慈(批評家)、はがみちこ(アート・メディエーター)、ヤノベケンジ(アーティスト)
協力:アートコートギャラリー、アートスペース虹、京都芸術センター、京都市立芸術大学芸術資源研究センター、京都造形芸術大学ウルトラファクトリー、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
助成:アーツサポート関西、公益財団法人 テルモ生命科学芸術財団

プロジェクトwebsite:https://engineinthewater.tumblr.com
facebook:https://www.facebook.com/engineinthewater/
お問い合わせ:engineinthewater@gmail.com

関連イベント

・ゲストトーク 7 月8 日(土) 19:00 – 20:30
会場:良恩寺(京都市東山区粟田口鍛冶町7)
話し手:椹木野衣(美術評論家) 聞き手:遠藤水城 入場料:無料
・トーク「《水中エンジン》再制作の技術について」 7 月15 日(土)19:00 – 20:30
会場:東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)(京都市東山区山崎町339)
話し手:白石晃一、松本晃(エンジニア) 聞き手:高嶋慈、はがみちこ 入場料:無料
・ゲストトーク 7 月22 日(土)19:00 – 20:30
会場:京都芸術センター ミーティングルーム2(京都市中京区山伏山町546-2)
話し手:浅田彰(批評家) 聞き手:遠藤水城 入場料:無料
主催:國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
共催:京都芸術センター
・クロージングパーティー 7 月29 日(土)18:00 – 20:00
会場:green & garden(京都市中京区三条猪熊町645-1) 入場料:1,000 円
1 – トーク「遠藤水城、プロジェクトの全貌を語る」話し手:遠藤水城
2 – 上映会「國府理作品の記録映像を見る」
3 – ライブ「《水中エンジン》記録音楽をつくる」出演:中川裕貴(音楽家 / 演奏家) 他